このたび、株式会社精密スプリング製作所は、地域経済や中小企業のイノベーションを紹介する有力なビジネス誌『月刊コロンブス』6月号に掲載されました。
当社は1950年の創業以来、岡山県岡山市を拠点に、自動車部品や農機具部品、建設機械向けなどの極めて高い信頼性を要求されるスプリング(ばね)および金属線材・板材加工を手がけてまいりました。長年にわたり積み重ねてきた確かな「職人ワザ」は、当社の揺るぎない財産です。
しかし、私たちはこれまでの実績に甘んじることはありません。近年、急速に進む「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を積極的に社内へ導入し、ベテランから若手へのスムーズな技術継承と、誰もが働きやすい職場環境づくりを推進しています。さらに、このデジタル化によって生み出された貴重な余力を活用し、島根大学との共同研究による「次世代EV(電気自動車)向け部品」の開発や、医療・福祉分野といった新たな市場へのアプローチをスタートさせています。
本記事では、雑誌『月刊コロンブス』に掲載された内容をベースに、当社の技術的な強み、社内で巻き起こっているDXイノベーション、そして私たちが目指す「ものづくりの未来」について、より深く、詳しくご紹介いたします。
目次
精密スプリング製作所が誇る「コア技術」と「強み」
他社を圧倒する「通常の 2 〜 5倍」の初張力を誇るハイテンションスプリング

当社の最大の技術的強みの一つが、同じ太さ、同じ形状のバネでありながら、通常の 2 〜 5 倍の強さ(初張力)を発揮させることができる独自の加工技術です。
通常、バネの強度や荷重を高めようとすると、線径(バネの素線の太さ)を太くしたり、巻き数を増やしたり、あるいは設置スペースを大きく取らざるを得なくなります。しかし、省スペース化や軽量化が極限まで求められる現代の車載部品や精密機械において、「サイズはそのままに、強度だけを数倍に引き上げる」という要求は非常に多く存在します。
当社では、CNCコイリングをはじめとする先進的な線材加工技術を駆使し、バネの内部に適切な応力を意図的に残留させることで、この困難な要求をクリアしました。この技術により、設計変更を最小限に抑えつつ、大幅な省スペース化と高荷重化を両立させることが可能です。
金属性線材・板材加工から溶接・組立までの一貫生産体制

当社はスプリングの製造だけでなく、金属線材・板材加工、プレス加工、曲げ加工、そして高度な溶接・組み立てまでを自社内で完結できる「一貫生産体制」を確立しています。
曲げ加工技術:複雑な特殊形状や、高精度化に対応。
溶接技術(自動溶接設備):鉄板、パイプ、シャフトといった異なる金属部材の接合を高品質に実現。
治具の自社設計・製作:溶接や加工の要となる治具をすべて自社で設計・製作しているため、他社では対応が難しい極小ロットや、複雑な曲げ加工にもスピーディに対応可能です。
地方の町工場が挑んだ「DXによる職人技術の継承」と「働き方改革」
人材不足と「3Kイメージ」からの脱却という課題
多くの製造業と同様に、当社も数年前には深刻な課題に直面していました。それは「若手人材の不足」と「ベテラン職人の技術継承」です。
製造業に対して一般的に抱かれがちな「きつい、汚い、危険(3K)」というイメージを払拭し、若手社員がやりがいを持って働けるクリーンで近代的な職場を作ること。そして、ベテランの頭の中や指先の感覚に依存していた「職人ワザ」を、いかにして次世代へスムーズに引き継いでいくか。この二つの課題を同時に解決するための鍵が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」でした。
現場発のDXツール導入と具体的なアプローチ
私たちは現場の抵抗感を最小限に抑えながら、実用性の高いデジタルツールの導入を推進しました。
- ビジネス用コミュニケーションアプリ【Slack】の導入
それまで電話連絡や口頭での伝達に依存していた社内コミュニケーションをデジタル化。
工場間の連絡や進捗状況の共有、トラブル発生時の写真・動画付き報告がリアルタイムで行えるようになり、「言った・言わない」のミスや無駄な移動時間が劇的に削減されました。 - クラウド型マニュアル作成ツール【Teachme Biz】の活用
ベテラン職人の手元や加工のコツをスマートフォンで撮影し、そのままクラウド上で画像や動画を交えたマニュアル(手順書)として簡単に作成・共有。
これにより、難易度の高いCNCコイリングマシンの設定方法や、複雑な溶接治具の取り扱い手順などが視覚化され、若手社員が「いつでも、何度でもスマホで手順を確認できる」環境が整いました。 - 電子ミーティングボード【MAXHUB】の全社配備
会議室だけでなく現場にも大画面の電子黒板を設置。
デジタル図面を画面に直接映し出し、手書きで修正指示や懸念点を書き込みながら、本社工場と西大寺工場などの複数拠点間でスムーズなリモート会議を実施。図面データの共有や確認プロセスが一瞬で完了するようになりました。
DXがもたらした「技術承継」と「社風の変化」の成果
これらのツールを「全部門に配置してみる」という大胆な方針をとった結果、社内の雰囲気は一変しました。
当初は「デジタルツールは苦手だ」と敬遠していたベテラン社員も、若い社員がマニュアル作成をサポートしたり、アプリでの簡単な操作をレクチャーしたりする中で、次第に自らの技術をデジタルで残すことに喜びを感じるようになりました。この双方向のコミュニケーションが、ベテランと若手の壁を取り払い、お互いを尊重し合う非常に風通しの良い、笑顔の絶えない社風を創り出しています。
現在では、「職人ワザ」が若手社員に確実に、かつハイスピードで引き継がれており、品質の安定化と生産効率の向上に大きく寄与しています。
DXが生んだ「余力」で挑む新分野:次世代EVバッテリー部品と医療・福祉
島根大学との共同研究:電力ロスを極限まで抑える次世代EV部品

DXの推進は、単に業務を効率化しただけではありません。最大の成果は、社内全体の無駄な時間が削減されたことで、「新技術・新用途開発に全力で取り組むための『時間的・人的な余力』が生まれたこと」にあります。
この創出された余力を投入し、当社が今まさに力を注いでいるのが、次世代EV(電気自動車)向けバッテリー関連部品の開発です。
電気自動車において、バッテリーからモーターへいかに効率よく、電力をロスすることなく伝達できるかは、走行距離やエネルギー効率を大きく左右する極めて重要な要素です。当社は、【島根大学】との産学連携による共同研究のもと、自社が持つ高精度な金属線材・板材加工技術を応用し、電力ロスを極限まで抑えてエネルギー効率を高める革新的なバッテリー関連部品の開発を進めています。
このプロジェクトは、数年後の本格的なEVシフトを見据え、当社の次なる成長ドライバーとして、試作と性能評価を繰り返しながら着実に形になりつつあります。
医療・福祉関連機器分野へのアプローチ
さらに当社では、高い安全性と信頼性、そしてミリ単位以下の緻密な制御が求められる「医療器具」や「福祉関連機器」に向けたスプリングおよび金属パーツの開発にも着手しています。
これまでに自動車部品や農機具部品で培ってきた「厳しい品質管理基準(【ISO9001】準拠)」と「耐久性の高いものづくり」のノウハウを、人命や生活の質(QOL)に直結する医療・福祉分野に役立てるべく、ニッチかつ高付加価値な製品ラインナップの構築を進めています。
設計・開発・購買担当者様、そして未来の仲間(求職者)へ
設計・開発・購買担当者様へ:このような課題はございませんか?
「今のスプリングでは強度が足りないが、これ以上設置スペースを大きくできない」 「新製品の開発に伴い、特殊な形状のスプリングや線材加工品が必要だが、どこに頼めばいいか分からない」 「試作から量産、さらには溶接や組み立てまでをワンストップで任せて、発注管理の手間を減らしたい」
このようなお悩みをお持ちの企業の皆様、ぜひ一度、株式会社精密スプリング製作所にご相談ください。 私たちは、お客様の設計段階からのサポートを得意としており、最適な形状提案や、コストパフォーマンスに優れた加工方法をご提案いたします。
【特にご相談いただきたい案件・業界】
車載部品・電子制御部品メーカー様(耐熱性、高精度、高信頼性が求められるバネ・端子)
農機具・建設機械メーカー様(高精度な中~大型溶接製品)
EV・次世代エネルギー関連企業様(島根大学との共同開発実績などを活かした、通電性・放熱性に優れる特殊導電部品)
医療・精密機械メーカー様(クリーンかつ極小・極薄の精密スプリング、線材フォーミング品)
求職者の皆様へ:伝統技術を守り、未来の「あたりまえ」を創る仕事
ものづくりの世界に興味がある学生の皆様、またはこれまでのスキルを活かして新しい挑戦がしたい転職希望の皆様。
株式会社精密スプリング製作所は、ただ歴史が長いだけの町工場ではありません。私たちは、SlackやTeachme Biz、MAXHUBといった先進的なDXツールを取り入れ、「誰もが効率的に、楽しく働ける環境」を本気で作っています。
ベテランの職人が培ってきた「神業」とも言える加工のコツは、最新のツールでいつでも学ぶことができます。そして、ここで身につけた技術は、島根大学との共同研究による「次世代EV部品」や「医療機器」といった、これからの地球と人類の未来を支える先端分野にダイレクトに活かされます。
「温故知新」を地で行く、アットホームでいて常にエキサイティングな職場で、私たちと一緒に新しいものづくりの扉を開きませんか?
まとめ:メディア掲載を契機に、さらに加速する「精密スプリング製作所」の挑戦
今回、雑誌『月刊コロンブス』に当社の取り組みを取り上げていただけたことは、全社員にとって大きな励みとなりました。
私たちはこれからも、創業から70年以上にわたり紡いできた「スプリング加工・金属加工技術」という強固な軸足を大切にしながら、DXの推進によって常に変化を恐れず、進化し続ける企業であり続けます。
「ものづくりに、デジタルの力を。そして、次世代を拓く新しい発想を。」
精密スプリングや、特殊な金属線材・板材加工でお困りのことがございましたら、まずはどのような些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
